狩猟採集時代ははヒト科とチンパンジー科が分岐した約600万年前から始まり農耕牧畜時代が始まる約1万年前まで続きました。メソポタミア文明などの古代文明は5000年前、産業革命は150年前、IT革命は20年前です。人類の歴史を1日にすると、産業革命がはじまったのが23時59分58秒、IT革命は23時59分59.7秒に始まりました。
一方で人間の進化のスピードは非常に緩やかで30万年前登場したホモサピエンスと現代人との間に知能の違いはほとんどないと考えられています。仮に30万年前のホモサピエンスが現代に生まれたとしたら、現代人と同じように言葉を覚えて、同じように大学に通ったことでしょう。
何が言いたいかというと、生活様式は違えど、現代人の行動原理は狩猟採集時代の原始人と同じであるということです。
現代に起きる様々な現象は、原始人の行動原理から考えると大体のことは説明がつくので、一つ一つ紐解いていきましょう。
人類の最大の脅威
歴史上もっとも人を殺してきたのは肉食動物や、天変地異ではなく自分と同じように知能の高いほかの人間。なので古来より人は徒党を組んで生き残ろうとしてきた。徒党を組む条件は自分と似ていること「類似性、ホモフィリー」。赤ちゃんは自分と血がつながっていて自分に似ている人から庇護をえる可能性が高いので、人間には自分と似ている人を見つける能力がある。学校でギャルや陰キャ、陽キャなどが徒党を組むのもこのため。
人は歴史を通じて人に最も殺されてきた
過去100万年の間、人類の最もメジャーな死因は飢餓でも病気でも猛獣でもなく、人による殺人であった。原始人の頭蓋骨の20%は人に石で殴られてた跡がのこっている。
食料が限定的だった過去において、能力のない人間は死んだ方が社会のためであった。
人は人に殺される可能性が最も高いので、殺される側に回らないことが本能レベルで大切で、それにつながる行動には褒賞(ドーパミン)が与えられる。
噂話をして特定の人を下げる行為はまさにそれ。自分語りをして自分の優位性を示すのもそのため。
人の行動原理はほかの人に殺されないためにほかの人の情報をシェアし、時には特定の人を陥れ、より優秀な伴侶をつかまえより優秀な遺伝子を残すために、自分を集団の中で目立たさせることである。
テスト前の勉強してないアピール
同じ結果をだすのであれば、それにかけた労力は小さければ小さいほど潜在能力の高さを証明できるので。
対立したときの反応
対立には「タスクの衝突」と「人間関係の衝突」の2つがある。「タスクの衝突」はビジネス上の目的に到達するかの議論で、対立がどんなに激しくても衝突は協力的で生産的なものになる。
人は対立と対峙したときに、「挑戦状態」か「脅威状態(萎縮)」のどちらかの状態になる。
自分に対立に対応できる十分なリソース(専門性)があるか否か本能的に判断し、あると判断した場合は挑戦状態となり、鼓動がはやまり血流量が増加し、アスリートが満員のスタジアムに登場する時のようなアドレナリンが発せられる。挑戦状態では心理的な余裕が生まれ、冷静な判断が可能となる。一方でないと判断した場合は、鼓動ははやくなるが血管の抵抗が増し、血流は逆に抑えられ、思考や身体のパフォーマンスが一気に低下する(萎縮とはまさにこのこと。)
なぜ若い女性は風俗で働くのか
資本主義の現代で評価される人的資本は労働市場に投資してマネタイズできるもの。学歴が分かりやすく一般的な人的資本となる。一方でエロス資本も人的資本の一部であり、10代後半から20代前半で最大になり、30代半ばでほぼ消失する。このことは女性なら誰でも知っていて、学歴という人的資本を得ることができなかった人は自分のもつ資本のマネタイズとして若いうちにエロス資本を活用している。
王道の教育はコスパ、タイパが悪い
東京大学に合格するには5教科8科目のを何年にもわたって勉強する必要があるが、万葉集や中東の歴史などは社会的・経済的に成功した後に趣味として楽しむ程度で十分。そのほとんどは「学歴を得る」目的以外には不要なもの。しかしその「学歴」だけで、資本主義の現代では努力できる証となりある程度の成功を収めることは可能。一方で、大成功を収めるためには、5教科8科目のを何年にもわたって勉強する時間をほかの一点のみに費やしある分野で突出する必要がある。GAFAMの創業者はみな高校や大学を中退している。
一方で、知識社会の頂点である医者や法律家は今後も上流であることは間違いなく、勉強を上り詰めたものと、教育に何の価値も見いだせなかったものが頂点に立つ社会となる。
怒りとは無力感の現れ
自分ではどうすることもできない状況に置かれたときに、人は怒りを感じる。自分で解決できることなら、人は粛々と解決をする。
同類性(ホモフィリー)
自分と似ている人は自分と血がつながっている可能性が高く、自分を守ってくれる可能性が高い。よって人は自分と似ている人に近づこうとする本能がある。子の本能により学校でギャルやオタクなど自分と似ている者同士が集まり徒党を組むことでスクールカーストとなる。また同じ経験をした人の方が参考になる。(同じ立場の人からのアドバイスが大切。)自分と似ている人は自分と同じ経験をしている可能性があるので、同類性をさらに強化する。よって同年齢で同性の友達が自然と多くなる。
友達の条件
前述の類似性のため友達と共通の遺伝子を持っている確率は、友達以外の人と同じ遺伝子を持っている確率の2倍となる研究がある。友達を選ぶ条件は「その時の状況下において、もっとも自分と共通点の多い相手」。
- 言語(方言)
- 育った場所
- 受けた教育
- 経験
- 趣味や関心事
- 世界観(宗教観、道徳観、政治観)
- ユーモアのセンス
- 音楽の趣味(特に比重が高い)
新しい人と出会ったら、これらの項目が自分といくつ共通するか評価しどのレベルの友達にするか判断する。
ダンパー数
顔と名前が一致する人が150人(ダンパー数)。そのうち5人は親友や家族、15人はイツメン。性格まで把握できるひは50人。この数字は常に一定で、誰かがその中に入れば、他の誰かが退場する。
30歳までは人生のパートナーを探すために友達の数は増え続ける。
男はグループで狩猟をしていたからグループを大切にし、女は一対一の関係を大切にする。親友がいるのは女の方が多い。
3種類の人間
人が大事にするものは各々で異なり、仕事を大事にするキャリア型、友達を大事にする社交型、子ども大事にする子ども型の3タイプがある。精神的な不調は自分の大事にする価値が既存したときに起こる。
人の性格
パーソナリティは遺伝と環境がかかわってくるが、思春期までにキャラが決まると、それ以降はほとんど変わらない。幸せになるためには内向的か外向的か、大切な価値観は何かなど自分のキャラに合わせて合理的な選択をする必要がある。
子どものパーソナリティ形成に親が寄与できること
200万年続いた狩猟採集時代は子どもの死亡率が極めて高かったので、たくさん兄弟を生むことが生物としての最適な戦略であった。戦前の日本でも10人近く兄弟がいることはよくあることであったので、狩猟採集時代もどうように多くの兄弟、いとこがいたことであろう。
授乳期が終わると、母親は次の子どもの授乳期がはじまるので、何人もいる姉、兄の世話ができなくなる。かといって授乳期が終わったばかりの2、3歳の幼児は自分だけでは生きていけない。そこで兄弟やいとこが幼児の世話をしていた。(子どもが「ごっこ遊び」がすきなのもこのため)
幼児目線で言うと、自分と血のつながりのある人(兄弟、いとこ)に世話をしてもらえる可能性が高いので、自分と似た人に本能的に近づこうとする。本能的に幼児は少し年上の自分とにている子供になつき、年上の子供は幼児の面倒を見ようとする。
男が嫉妬する原因
男は自分の子供かどうかを判断することは歴史を通じてできなかった。男にとっての一番の進化的損失は、他人の子供を自分の子供と思い育てること。このためあらゆる文化で妻の姦通は厳しく罰せられている。
心拍数の低いと攻撃的になりやすい
見知らぬ大人から電極を取り付けられ心拍数を図るのだから、普通の子供はストレスがかかって心拍数は上がる。心拍数が低い子供は、恐れの欠如を表している。恐れの欠如から、刺激を求めて攻撃的になったり反社会的な行動をとったりすることがおおい。またベンチャー企業の立ち上げなど恐れの知らない人にしかできないので、心拍数が低い人が多い。
幅の広い顔の男性は攻撃的
代表的な男性ホルモンのテストステロンと顔の形には相関関係があり、テストステロンが多いほど、顔の幅が横に広がる。
IQとEQは比例しない
仕事や勉強ができることと人間性はまったく比例しない。とんだサイコパスが一流企業の社長だったり、政治家だったりすることもめずらしくないし、勉強はできないけど人間性はすばらしいひとはたくさんいる。