「幸せ」=「種の保存」=「人生の目的」
人間も生物である以上「種の保存」を最優先すべきであると脳にプログラムされている。「種の保存」に貢献する行為に人は「幸せ」を感じ、逆に「種の保存」に逆行する行為に人は「不幸」や「不快」を感じる。(マズローは人間の欲求を5段階に分類したが、すべての欲求の行きつく先は「種の保存」である。)
そして人生(人類)の究極の目的は”死ぬまでの幸福度の合計を最大化すること”。昔は、「いま、ここ」の状況に対処することが重要で、目の前の利益を最大化するように脳はプログラムされているが、文明化され今の安全が保障されている現代においては80年先まで考えて、合理的に長期にわたって幸福度をあげるほうがよい。(例えばドラッグなどの短期的な快楽は長期的には不幸になるので賢明な人はやらないし、目の前のケーキを我慢して痩せた方が長期的な幸せを感じる可能性が高いと合理的な人は判断できる。) 若ければ若いほど、目先の利益を我慢して長期的なリターンを生む選択をするべき。
何かを得るためには、何かを消費する必要がある。これは幸せに関しても同じことが言え、幸せを得るために、何かを投資する必要がある。(何もしないでぼーっとしているだけで、今以上に幸せになることはない。)そしてその投資は少なければ少ないほうがいいし、リターンは大きければ大きいほうがいい。詳しくは「客観的で物理的な幸せの土台 投資とリターン」で後述する。
バーチャルな幸せ
人間の脳は簡単に騙される。つまり現実世界ではないバーチャルな世界(おとぎ話、小説、ゲーム、映画、漫画、etc.)での経験、行為に対しても人間は十分に「幸せ/不幸」を感じることができる。バーチャルな世界では簡単に欲求を満たすことができる。決して現実世界で得られる快楽ほど強くはないものの、その手軽さ故、バーチャルな世界での”ほどほど”の快楽で満足してしまう人が増えてきている。例えば現実世界での恋愛をその煩わしさゆえに避け、手軽な恋愛RPGで満足してしまうようなものである。
ネットでキャンプ動画を見ることから得られる快楽は、現実の友達と実際にキャンプに行くことで得られる快楽より少ないが、後者を手にするための投資(金、時間)と前者を手にするための投資(ほぼゼロ)を考えた時に、人はトータルとして前者を選択してしまう。
本来現実の快楽の方がバーチャルな快楽よりも大きかったが、その快楽を得るための投資がネットの登場により限りなく0になり、コンテンツ量も無限になってしまったため、バーチャルな快楽の方に流されるようになってきている。
ネットでバーチャルなコンテンツが無料に大量に手に入るようになってしまったため、バーチャルな快楽は投資をほぼすることなく簡単に手に入れることができるようになっている。一方で現実世界で快楽を得ようとすると、ある程度大きな投資が必要である。例えば友達から評判をえるために、恋人を見つけるためにおしゃれしたり、
そして徹底的に社会化された動物である人が求めているのは社会からの承認であり評価。生理的欲求や所属の欲求が満たされた後、究極的に人が目指すのはより効率的により大きな評判(社会的承認)を獲得すること。とくにネット(SNS)評判はほかの資産とくらべ保存することができないので、常に新しい評判を求めようとしてしまう。人的資本を高めて、実生活でのステイタスを高めることが、承認欲求から逃れる方法。
すべての幸せは逓減する
幸せな状態は長くは続かない。のどが渇いたときに飲む一口目のビールが一番おいしく感じるが、おいしく感じる度合いは二口目、三口目と徐々に下がっていく。ほかの行為もすべて同様で、幸せは逓減していく。幸せが逓減しないとすると、一生ビールを飲み続けることになり「種の保存」から逆行してしまう。
同様に不幸せも逓減する。ゆでガエルと呼ばれるように、自分が不幸な状況にあり続けるとそれがあたり前になり、自分の不幸にマヒしてしまう。不幸が逓減しないで不幸を感じ続けると自死してしまうので、これも「種の保存」のため。
よって、王様も奴隷もそれぞれの主観では同じだけ幸せで不幸であるが、どうせなら王様の方がいい。そのために、主観ではなく客観的な指標で幸せになりやすい土台を物理的に構築することを目指す。
客観的で物理的な幸せの土台 投資とリターン
金融資本、人的資本、社会資本 が幸せの土台。資本を市場に投資してより多くのリターンを得ることで幸せになりやすい状況をキープする。以下、堅固な資本の作り方と賢明な投資先を解説する。
人的資本
自身の能力を発揮するための土台のこと。人的資本を労働市場に投入することで金銭や評判をリターンとして得る。労働市場に投入する人的資本は資本主義社会の仕組みにおいて、マネタイズできることが重要。自分の能力を効率的にマネタイズしていることを、現代では成功と呼ぶ。
人的資本の価値を高めるための守りと攻め
人的資本の守り
人的資本を有効活用できる健康な体のこと。正しい睡眠と食事と運動で手に入れることができる。
- 自然に起きる2時間前に最も脳が修復されるので、目覚ましなしで起きられる時間に寝る。(5日間目覚まし時計を使わずに起きて自然と起きられる時間、または目覚ましをつかって毎日30分ずつ早く寝るようにして、目覚ましが鳴る前に起きれるようになる時間)カフェインの半減期は6時間。午後にカフェインを摂取しない。スヌーズは使わない。寝る前1時間、ブルーライトカットする。室温は18.3度。昼食後にお昼寝。
- 正しい食生活を送る
- 毎日25分、早歩き。週に少なくとも150分の中程度(早歩きやヨガ、庭仕事)または75分の高強度(ランニング、山登り等)の有酸素運動、それに加えて週2回のウェイトトレーニング→週に2回プールに入り、2回なかやまきんに君の動画でウェイトトレーニングする。
人的資本の攻め
とは集団に貢献できる自分の能力のこと。力のある人がマンモスを捕まえて、手先が器用な人がみんなの服を作って、というように分業は人間のDNAに刻まれてきた。自分の得意なことに人的資本のすべてを投資して、ある分野での上位10%の人材になる。
大体のことは正しい20%の努力で80%の人よりも優秀になれる。しかし競争が激しい分野では、上位1%の人しか投資に見合うリターンを得ることができない。自分の得意と社会のニーズがマッチするニッチな市場を見つける必要がある。20%の努力で10人中8人に勝てる人材となって、その職業等が自分にあってるか判断し、あってなければさっさと別の分野に20パーセントの努力を投下する。自分にあっていると判断できたら、さらに努力を続け、上位10パーセントの人材になればよい。トライ&エラーで自分にあう分野を探そう。
自分が好きなことと、得意なこととでは、得意なことに人的資本を投資して、金融資本を効率的に得たほうが、幸せになりやすい。好きなことは、金融資本を再投資して得た自由な時間でやればよい。
自分の得意なことは過去の自分選択にある。人は集団の中で無意識のうちに自分のキャラを確立し、目立つことでより良い異性を獲得しようとしている。そのため学生時代の無意識のうちに作り上げたキャラクターこそが自分の特徴を最大限反映させ生かしているものなので、過去の自分のキャラクターが自分の得意なこと。
アーリーリタイア
アーリーリタイアをすれば人的資本を毀損し、かえって自由を失ってしまう。人生100年時代に「好きな仕事をずっと続ける」ことが最適戦略となる。
エッセンシャル思考×2
ライバルが自分より1.5倍優秀だとしても、自分が何年も1点のみに集中して人的資本を投下していれば、数年後、専門知識の量でライバルを圧倒できるようになる。個人的なお勧めは2点投下。例えば英語だけを極めようと思っても、他に優秀な人はたくさんいる。しかし英語と法律両方の専門家となれば、その両方を極めている人は少ない。親和性のある2つの分野に特化して、専門性(知識)を磨き、その二つの専門性が生きるニッチ市場で活躍することで、人的資本を効率よくマネタイズすることができる。
人的資本の投資から得られるリターン
人的資本の最も有効な活用方法は労働市場に投資することで、金融資本というリターンを得ること。年収400万円の人は、利回り4%だとして1億円の金融資本に匹敵する価値がある。
また会社という集団に属しパフォーマンスを発揮することで他社からの評判を得て承認欲求を満足させることができる。さらに、起業などをして本当に自分がやりたいことを実現することで自己実現欲求もみたされる。(集団に属することは逆に他社からのマイナスの評判を得て負の承認欲求を得てしまう危険性がともなう。)
金融資本
持ち家+1億円の金融資産があると、それ以上貯蓄が増えても幸福度は上がらない。
資産=(収入‐支出)+(資産×運用利回り)
マイホーム購入
投資としてのマイホームの購入は高いレバレッジをかけて、利回りの極めて低い不動産に投資をする行為。そこから得られる幸福度は人によって違うので、ほしい人は買えばよい。
保険
保険は不幸の宝くじなので、不幸くじを引かない≒保険で損をする ことに意味がある。しかし保険会社は保険をほかの金融商品と組み合わせ、なんとか保険で得をしようと見せてくる。保険は買うなら掛け捨て。日本にいる場合、高額医療制度があるので不要。
車は危険
毎年2000人以上の人が交通事故で死亡している。車の運転を控え、公共交通機関を利用することでリスクを下げる。よく車を使う地方の人よりも、電車やバスを多く利用する都市部の人の方が健康な割合が高い。さらに車は負の動産。住むべきは公共交通機関のみで生活が完結できる都市部や郊外。
外貨でリスクヘッジ
外貨建て資産に投資する時に、「円高になったら損をする」と考える人は多いが、日本円の資産を保有していて、「円安になったときにドル建てで損をする」ことを意識しているひとはほとんどいない。円と基軸通貨のドルを半々で持つことで、円安とドル安は反対の動きをするので、実質資産価値は一定になる。よって日本で働いている以上、給料は円でもらうので、投資は外貨建てで行うべき。
社会資本
社会資本とは特定の個人と有効な関係を築くことと、集団に属すること。共同体から排除されることはすなわち死を意味したのだから、人は嫌われたり反感を買ったりすることを避け、周囲に同調する。しかし同調しているだけでは異性からの評判を得られないから、集団の中で目立ち、大きな評判を得ようとする。
資源は有限であるので、共同体に属しないものは排除する。(水飲み場や肥えた土地をめぐって集団同士があらそってきた。) 人は共同体の中では協調し、他の共同体とは敵対するようになっている。
自分の社会資本を特定の個人や集団に投資することで、それ以上のベネフィットを得る。
特定の個人に投資することで、友人や恋人、家族
ただ名前を呼べばいい。
名前を呼んで、自分の個人的ニュースをシェアする。そのニュースはくだらなければくだらない方がよい。自分が本音で話すことで、信頼を得る。相手も本音で話してくれる。
人間は極めて社会的な動物で、常に他人と自分を比較して幸/不幸を感じている。自分より恵まれた人を見ると痛みを感じ、自分より劣った人と出会うと快感を覚える。サルにバナナを1本やると喜んで食べるが、2匹のサルのうち1匹に1本、もう一匹に2本あげると、1本しかもらっていないサルは怒り出す。このように、動物の本能に「他人と自分を比較して幸不幸を判断すること」が刻まれている。